仙腸関節って?
「マッサージに行ってもすぐ元に戻る」「原因不明のイライラや疲れがある」 その悩み、もしかしたら仙腸関節が原因かもしれません。
今日は、プロの視点から仙腸関節(せんちょうかんせつ)と姿勢、そして自律神経の深い関係について、最新の知見を交えて解説します。
1. 仙腸関節の解剖学:体の「免震装置」
仙腸関節は、背骨の土台である「仙骨」と、骨盤の左右にある「腸骨」をつなぐ関節です。
画像挿入イメージ:骨盤の正面・背面図 (仙骨と腸骨のつなぎ目に印がついているもの)
わずか数ミリの動きが重要
かつて仙腸関節は「動かない関節」と言われていましたが、近年の研究(Vleemingら, 2012)では、3〜5mm程度のわずかな可動域があることが証明されています。 この数ミリの動きが、歩行時やジャンプ時の衝撃を吸収する「免震装置」の役割を果たしているのです。
2. 姿勢と仙腸関節の機能解剖学
仙腸関節がスムーズに動かない(機能不全)と、体全体のバランスが崩れます。
◯ニューテーション(頷き運動): 仙骨が前方に傾き、関節が安定する状態。
◯カウンターニューテーション: 仙骨が後方に傾き、関節が緩みやすい状態。
デスクワークで猫背が続くと、仙骨は後方に倒れ(カウンターニューテーション)、仙腸関節が不安定になります。すると、周りの筋肉(多裂筋や大臀筋)が過剰に緊張し、腰痛や股関節痛を引き起こす原因となるのです。
3. なぜ仙腸関節が「自律神経」を整えるのか?
「骨盤を整えると気持ちが落ち着く」というのは、単なるリラックス効果ではありません。
論文が示す自律神経への影響
解剖学的に、仙骨の前面には**骨盤内臓神経(副交感神経)**が通っています。 ある研究では、仙腸関節への徒手療法が心拍変動(HRV)を改善し、副交感神経を優位にする可能性が示唆されています。
◯仙腸関節が固まる → 姿勢が崩れる → 呼吸が浅くなる → 交感神経が優位(イライラ・不眠)
◯仙腸関節が整う → 姿勢が伸びる → 深い呼吸ができる → 副交感神経が優位(リラックス)
画像挿入イメージ:姿勢が良い人と悪い人の比較図(神経の通り道のイメージ)
4. 自宅でできる!仙腸関節ケア「ゆらゆらストレッチ」
仙腸関節を無理に動かすのは危険です。「緩める」イメージで行いましょう。
① 仙骨ゆらゆら(目安:1分)
◯仰向けになり、両膝を軽く立てます。
◯膝を揃えたまま、左右に5cm〜10cmだけ小さく揺らします。
◯お尻の真ん中の骨(仙骨)が床でマッサージされている感覚を味わってください。
② 腸腰筋ストレッチ
仙腸関節の前を通る「腸腰筋」を伸ばすことで、骨盤のポジションを正常に戻します。
画像挿入イメージ:片膝立ちで股関節の前を伸ばしている写真
まとめ:土台を整えて、心も体も健やかに
仙腸関節は、体の物理的なバランスだけでなく、自律神経を通じた心のバランスも司る重要なポイントです。
「どこに行っても良くならない」という方は、一度この小さな関節の動きを見直してみませんか?当院では、最新の解剖学に基づいた優しいアプローチで、あなたの「土台」を整えるお手伝いをしています。
今回の執筆にあたり参考にした考え方
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Vleeming A, et al. (2012) “The sacroiliac joint: an overview of its anatomy, function and potential clinical implications.”
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仙腸関節の安定性(Form Closure / Force Closure)の理論に基づいた解説。

高校卒業後に君津市にある千葉医療福祉専門学校へ入学し、国家資格である理学療法士の免許を取得。卒業後は、木更津市にある君津中央病院へ入職し、整形外科・脳外科・神経内科など様々な診療科目におけるリハビリテーションを学びながら2年間勤務。その後、富津市にある加藤大介クリニックに開業から約20年間勤務し約50000万人の方を施術し、それと同時にスポーツトレーナーとして高校野球部をサポート。昨年2024年4月に木更津市に整体oasisを開業。整体業のほかに地域のスポーツ団体にスポーツ障害の予防を指導し、地域で活動中。

















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