筋肉の硬さは日々の食事による自律神経との関係かも⁉︎
多くの方が悩む筋肉の硬さ。実は、単なる運動不足や姿勢だけでなく、自律神経、そして私たちが日々口にする食事が深く関わっていることをご存知でしょうか?
ストレスを感じたり、忙しい毎日を送っていると、私たちの体は知らず知らずのうちに「戦闘モード」になります。これが交感神経が優位な状態。
すると、筋肉は常に緊張し、ギュッと硬くなってしまいます。肩こりや首の痛み、腰のハリは、そのサインかもしれません。
そして、意外なことに、この自律神経のバランスには食事が大きく影響します。
例えば、糖質の摂りすぎで血糖値が乱高下すると、体はストレスを感じ、さらに交感神経を刺激してしまいます。また、腸内環境の乱れも、自律神経の不調に直結し、結果的に全身の筋肉の緊張を招くことがあるのです。
心身のバランスを整え、しなやかな体を取り戻すために、まずはご自身の食生活と向き合ってみませんか?
今回は、筋肉の硬さと日々の食事と自律神経との関係について解説したいと思います。
自律神経って何?その影響は?
まずは、自律神経とは何かをお伝えします。
1. 自律神経が筋肉の硬さに与える影響
自律神経は、私たちの意思とは関係なく、内臓の働きや呼吸、心拍数、血圧などを自動的に調整している神経です。自律神経は、体を活動的にする「交感神経」と、体をリラックスさせる「副交感神経」の2つに分けられます。
●交感神経が優位な時
体が活動モードになり、筋肉は収縮しやすくなります。ストレスを感じたり、緊張したりすると交感神経が活性化され、筋肉がこわばり、硬くなります。特に、姿勢を維持する「姿勢筋」と呼ばれる筋肉(首、肩、背中など)は、交感神経の影響を受けやすいと言われています。
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心拍数・血圧の上昇:心臓の拍動が速くなり、血液を全身に効率よく送るため、心拍数が増加し、血圧が上がります。
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呼吸が浅く早くなる:多くの酸素を取り込むため、気管支が拡張し、呼吸が浅く早くなります。
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筋肉の緊張:全身の筋肉が緊張し、いつでも動けるように備えます。これにより、肩こりや首のこりなどを感じやすくなります。
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消化活動の抑制:緊急時には消化活動は後回しになるため、胃腸の動きが抑制され、唾液の分泌も減ります。口の渇きや便秘・下痢などの症状が出やすくなることがあります。
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瞳孔の拡大:より多くの光を取り込み、視野を広げるために瞳孔が拡大します。
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発汗の促進:体温の上昇を抑えるために汗腺が活動し、発汗量が増えます。
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血糖値の上昇:活動に必要なエネルギーを供給するため、血糖値が上昇します。
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免疫力の低下:ストレスが慢性的に続くと、免疫機能が抑制されることがあります。
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精神面の緊張・不安:集中力が高まる一方で、精神的な緊張感や不安を感じやすくなります。
●副交感神経が優位な時
体がリラックスモードになり、筋肉は緩みやすくなります。
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心拍数・血圧の低下:心臓の動きがゆっくりになり、全身の血流も穏やかになるため、心拍数が減少し、血圧が下がります。
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消化活動の促進:胃腸の動きが活発になり、唾液や消化液の分泌も促されます。これにより、食べ物の消化・吸収が効率よく行われ、排泄もスムーズになります。
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呼吸が深くゆったりする:呼吸が深くなり、心身が落ち着きます。
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筋肉の緊張緩和:全身の筋肉が緩み、リラックスした状態になります。慢性的な痛みや凝りの緩和にもつながります。
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瞳孔の収縮:近くの物に焦点を合わせやすくなります。
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免疫力の向上:ストレスホルモンの減少などにより、免疫機能が向上すると言われています。
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睡眠の質の向上:心身がリラックスすることで、寝つきが良くなり、深い睡眠に入りやすくなります。
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ストレスホルモンの減少:精神的な安定に繋がり、ストレスの影響を受けにくくなります。
このように、自律神経のバランスが整っていれば、筋肉の状態も良好に保たれやすいのですが、ストレスなどで交感神経が優位になりすぎると、筋肉が常に収縮し、硬くなってしまうのです。
2. 筋肉の硬さが自律神経に与える影響
逆に、筋肉の硬さが自律神経の乱れを引き起こすこともあります。
●血行不良:
筋肉が硬くなると、その部位の血流が悪くなります。血流が悪くなると、酸素や栄養が十分に行き渡らず、疲労物質がたまりやすくなります。この状態が続くと、自律神経のバランスが乱れ、特に交感神経が過剰に働き続けることがあります。
●神経への影響:
硬くなった筋肉は、筋肉内の神経受容体を刺激し、中枢神経系に情報を送ります。この刺激が自律神経にも影響を与え、例えば痛みが自律神経をさらに刺激するといった悪循環が生じることがあります。
●脳への血流:
特に首や肩の筋肉が硬くなると、脳への血流が悪くなることがあります。脳への栄養が不足すると、自律神経の機能が低下し、様々な不調が現れる原因となることがあります。
ストレスと筋肉の硬さ、自律神経の悪循環
ストレスは、自律神経の乱れの大きな要因であり、筋肉の硬さにも直結します。
●ストレスを感じる
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●交感神経が優位になる
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●筋肉が緊張し、硬くなる (特に首、肩、背中などの姿勢筋)
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●筋肉の硬さにより血行不良や神経刺激が起こる
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●さらに自律神経のバランスが乱れる (交感神経が過剰になる)
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●体全体が慢性的な緊張状態になる
このような悪循環が、肩こり、首の痛み、腰痛、疲労感、頭痛、睡眠障害など、様々な身体の不調につながることがあります。

ストレスには食事も関係している?
自律神経と食事は深く関係しており、食事が自律神経のバランスに大きな影響を与えます。
1. 食事が自律神経に与える影響
●血糖値の変動:
糖質の多い食事や、早食いなどによって血糖値が急激に上昇・下降すると、自律神経に負担がかかり、交感神経が優位になりやすくなります。特に、白砂糖や精製された炭水化物(パン、うどんなど)は血糖値を急激に変動させやすいと言われています。
●腸内環境:
腸は「第二の脳」とも呼ばれ、自律神経と密接な関係があります(脳腸相関)。腸内環境が乱れると、自律神経のバランスが崩れやすくなります。腸内細菌はセロトニン(気分を安定させる神経伝達物質)の一部を産生するため、腸内環境が良好であることは自律神経の安定に重要です。
●栄養素の不足:
自律神経の働きには、様々な栄養素が必要です。特定の栄養素が不足すると、自律神経の機能が低下し、バランスが乱れる原因となることがあります。
●食事のタイミング:
夜遅い時間の食事は、体が休息モードに移行するのを妨げ、睡眠の質を悪化させる可能性があります。これは、自律神経が睡眠と覚醒のサイクルを調節しているためです。
2. 自律神経を整えるための食事のポイント
自律神経のバランスを整えるためには、以下の点を意識した食事がおすすめです。
●バランスの取れた食事:
・主食、主菜、副菜を揃える: 糖質、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルをバランス良く摂取することが重要です。
・多様な食材を取り入れる: 特定の食材に偏らず、様々な種類の野菜、果物、魚、肉、豆類などをバランス良く食べましょう。
●血糖値の急激な上昇を避ける:
・食物繊維を意識する:
野菜、海藻、きのこ類、全粒穀物(玄米、オートミールなど)は食物繊維が豊富で、血糖値の急激な上昇を抑える効果があります。
・ゆっくりよく噛んで食べる:
消化吸収を助け、血糖値の急激な上昇を抑えます。
・食べる順番を意識する:
野菜やタンパク質から先に食べることで、血糖値の急激な上昇を抑えられます。
●腸内環境を整える:
・発酵食品を摂る:
味噌、納豆、ヨーグルト、キムチなどの発酵食品は、腸内環境を整える善玉菌を増やします。
・食物繊維を摂る:
腸内細菌のエサとなり、腸内環境を良好に保ちます。
●自律神経の働きをサポートする栄養素を意識する:
・トリプトファン: 幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの材料となる必須アミノ酸です。乳製品、大豆製品(納豆、豆腐)、卵、バナナ、ナッツ類などに多く含まれます。
・ビタミンB群(特にB1, B6, B12):
神経の働きをサポートし、ストレス軽減に役立ちます。豚肉、玄米、大豆、卵、バナナ、ナッツ類、魚(マグロ、カツオ)などに含まれます。
・マグネシウム:
副交感神経を優位にし、リラックス効果が期待できます。アーモンド、くるみ、大豆製品、海藻類、バナナなどに含まれます。
・GABA(γ-アミノ酪酸):
ストレスを和らげ、リラックス効果が期待できるアミノ酸です。発芽玄米、トマト、カカオ(高カカオチョコレート)、漬物、なす、かぼちゃなどに含まれます。
・オメガ-3脂肪酸:
脳の働きを整え、自律神経をサポートすると言われています。青魚(サバ、イワシ、サンマ)、亜麻仁油、えごま油などに含まれます。
・ビタミンC:ストレスがかかると消費されやすい栄養素で、副腎皮質ホルモンの分泌に関与します。野菜や果物に多く含まれます。
●食事のタイミング:
・朝食をしっかり摂る:朝日を浴びながら朝食を摂ることで、体内時計がリセットされ、自律神経が整いやすくなります。
・夜遅い時間の食事を控える:就寝前に消化活動が活発になると、体が休まりにくくなります。
3. 控えたい食べ物・飲み物
・高糖質な食品:血糖値を急激に変動させ、自律神経に負担をかけます。白砂糖を多く含むお菓子や清涼飲料水、菓子パンなどは控えめにしましょう。
・カフェインの過剰摂取:交感神経を刺激し、興奮状態を引き起こす可能性があります。コーヒー、エナジードリンク、紅茶などの過剰摂取は避けましょう。
・アルコールの過剰摂取:一時的にリラックス効果があるように感じても、過剰な摂取は交感神経を刺激し、睡眠の質を低下させ、自律神経の乱れにつながることがあります。
・トランス脂肪酸:健康に悪影響を及ぼすと言われています。ケーキ、ドーナツ、揚げ物、インスタントラーメン、スナック菓子などに含まれることが多いです。
・食品添加物:腸内環境を悪化させ、自律神経の乱れを引き起こす可能性があります。
いかがだったでしょうか?
「体が硬い=ストレッチ」をイメージされないでしょうか?
けれど、一生懸命ストレッチをしても、日々の食事によっても交感神経が優位となり、筋肉が硬くなってしまいます。そうなると、いくら頑張っても体に変化を起こすことはできません。
体を柔らかくするためには、日々の食事内容や食べ方を意識して自律神経を整えることが大切です。無理なく継続できる範囲で、食生活を見直してみましょう!

高校卒業後に君津市にある千葉医療福祉専門学校へ入学し、国家資格である理学療法士の免許を取得。卒業後は、木更津市にある君津中央病院へ入職し、整形外科・脳外科・神経内科など様々な診療科目におけるリハビリテーションを学びながら2年間勤務。その後、富津市にある加藤大介クリニックに開業から約20年間勤務し約50000万人の方を施術し、それと同時にスポーツトレーナーとして高校野球部をサポート。昨年2024年4月に木更津市に整体oasisを開業。整体業のほかに地域のスポーツ団体にスポーツ障害の予防を指導し、地域で活動中。















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