野球肘で悩んでいる選手へ
思うように投げられない日々、本当につらいですよね。
「もうダメかもしれない…」
そんな不安を抱えながらも、なんとか痛みを克服したいと、必死にトレーニングを重ねました。
そこで、あなたに質問です。
今、野球肘に対してどのようなトレーニングを行っていますか?
もしかしたら、
- 痛みを我慢しながら投げ込みを続けている
- とりあえずアイシングとストレッチだけ
- 何をすればいいか分からず、安静にしている
という方もいるかもしれません。
しかし、野球肘を克服するためには、適切なトレーニングが不可欠です。
痛みの原因を根本から改善し、再発を防ぐための効果的な方法があります。
この文章では、野球肘のメカニズムから、具体的なトレーニング方法、そして予防策まで、あなたの悩みに寄り添いながら、解決策を一緒に探していきます。
野球肘の原因となる尺側手根屈筋とは?
野球における尺側手根屈筋は、投球動作において非常に重要な役割を果たします。
以下に、その主な働きをまとめました。
1. 肘の安定化
- 投球時に肘にかかる外反ストレス(肘が外側に開こうとする力)を制御し、肘関節の安定性を保ちます。
- 特に、ボールをリリースする瞬間に発生する大きな外反ストレスに対して、尺側手根屈筋が収縮することで、肘の内側側副靱帯(UCL)への負担を軽減します。
2. 手首の動きの制御
- 手首を尺屈(小指側に曲げる)させる働きがあり、投球時の手首の動きを制御し、ボールのコントロールに貢献します。
- また、手首の安定性を高めることで、ボールに力を伝える効率を高めます。
3. 前腕の安定化
- 前腕の筋肉群と連携して、前腕全体の安定性を高め、投球動作をスムーズに行うための基盤を作ります。
4. 野球肘との関連性
- 投球動作の繰り返しによって、尺側手根屈筋に過度の負担がかかると、筋肉の炎症や疲労を引き起こし、野球肘(内側型上腕骨上顆炎)の原因となることがあります。
- そのため、尺側手根屈筋の柔軟性や筋力を維持することが、野球肘の予防に繋がります。
研究でもその報告がされています
練習時間の長い成長期の野球選手では尺側手根屈筋が硬くなる
齊藤 明1),岡田 恭司1),髙橋 裕介2),柴田 和幸3),大沢真志郎4),佐藤 大道5),木元 稔1), 若狭 正彦1)
1)秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻理学療法学講座,2)秋田大学医学部附属病院, 3)市立秋田総合病院,4)藤原記念病院,5)JA 秋田厚生連秋田厚生医療センター
成長期の野球選手において浅指屈筋,尺側手根屈筋の硬さは,肘・股関節可動域や野球歴とは関連がないことが明らかとなっ た。一方,1 週間の練習時間の増大は尺側手根屈筋を硬くし,このことが成長期野球肘の発症へとつながる可能性が示唆された。
尺側手根屈筋のトレーニング方法とセルフケア
野球肘につながる尺側手根屈筋のトレーニングは、予防とリハビリテーションの両方の観点から重要です。
以下に、具体的なトレーニング方法をいくつかご紹介します。
1. ストレッチ
- 尺側手根屈筋のストレッチ:
- 手のひらを前に向け、腕を伸ばします。
- 指先を下に向け、反対側の手で指先をつかみ、ゆっくりと体の方へ引き寄せます。
- 前腕の内側の筋肉が伸びているのを感じながら、15~30秒程度静止します。
- 反対側の腕も同様に行います。
- 前腕の回内・回外ストレッチ:
- 手のひらを上にした状態で腕を伸ばし、反対側の手で力を加えながら、肘を伸ばしたまま手のひらをゆっくりと内側(回内)に回します。
- 前腕の筋肉が伸びているのを感じながら、15~30秒程度静止します。
- 次に、手のひらを外側(回外)に回し同様に行います。
- 反対側の腕も同様に行います。
2. 筋力トレーニング
- リストカール:
- 軽いダンベルやペットボトルを持ち、手のひらを上に向けて座ります。
- 手首だけを使ってダンベルを持ち上げ、ゆっくりと下ろします。
- 10~15回を3セット行います。
- 尺屈運動:
- 軽いダンベルを持ち、手のひらを内側に向けて座ります。
- 手首を小指側に曲げ、ゆっくりと元の位置に戻します。
- 10~15回を3セット行います。
- タオル絞り:
- タオルを両手で持ち、雑巾絞りのように左右に絞ります。
- 前腕の筋肉に負荷がかかっていることを意識しながら行います。
- 左右10回ずつ3セット行う
- 等尺性トレーニング:
- 壁に手のひらを小指側から押し当て、5秒間力を入れます。
-
これを10回繰り返します。
当院で症状が改善した選手の紹介

日頃からのトレーニングをセルフケアで野球肘は予防することができます。
ただ、闇雲に行っても良くはなりません。
状態にあったトレーニングの選択が大切となります。
野球肘のご相談やご質問は【整体院oasis】まで、お気軽にお声掛けください。

高校卒業後に君津市にある千葉医療福祉専門学校へ入学し、国家資格である理学療法士の免許を取得。卒業後は、木更津市にある君津中央病院へ入職し、整形外科・脳外科・神経内科など様々な診療科目におけるリハビリテーションを学びながら2年間勤務。その後、富津市にある加藤大介クリニックに開業から約20年間勤務し約50000万人の方を施術し、それと同時にスポーツトレーナーとして高校野球部をサポート。昨年2024年4月に木更津市に整体oasisを開業。整体業のほかに地域のスポーツ団体にスポーツ障害の予防を指導し、地域で活動中。
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