野球肘でお悩みの方へ
野球の現場で活動していると「ボールを投げると、肘に痛みがあって思うように投げられない。」と相談にくる選手がいます。
肘関節の投球障害は、小学生や中学生などまだ完全に体が成長していない選手に多い傾向があります。
「肘に痛みがあるから、肘の周りのストレッチをしよう!」
それも間違いではありません。
ただ、「肘の周りをストレッチしているけれどなかなか良くならない…」
ということはありませんか?
この場合、肘に症状がありますが実は肩関節の後方の組織の硬さが起こっているために、肘へと負担をかけている可能性もあります。
実は、離れたところにその痛みの原因を解決するヒントがあります。
今回は肩関節と肘関節の障害について、肩関節の後方の硬さとの関係についてをお伝えします。
野球肘とは?
野球肘は、野球の投球動作やスローイングに伴う肘関節周囲の軟部組織や骨の障害を総称したもので、特に球数を多く投げる投手に多く見られるスポーツ障害です。
繰り返しの投球動作による過度な負荷が原因となり、肘の【内側・外側・後方】にさまざまな損傷や炎症を引き起こします。
「野球肘」については、過去の内容もご参考ください。
トレーナーとして野球の現場で活動するスタッフが野球肘のセルフチェックとセルフケアの方法を解説【整体院oasis 木更津】
改めて、野球肘についての分類をお伝えします。
① 内側型: 肘の内側の痛み。投球時に痛みを感じることが多く、靭帯や筋肉の損傷が原因となります。
●内上顆骨端線離開
●内側側副靱帯損傷
●回内・屈筋群筋筋膜炎・上腕骨内顆炎
② 外側型: 肘の外側の痛み。軟骨や骨の損傷が原因となることが多く、子供に多く見られます。
●離断性骨軟骨炎
③ 後方型: 肘頭(ひじの先端部分)の疲労骨折や、肘関節周囲の神経の圧迫なども野球肘として扱われることがあります。
●肘頭骨端線離開
●肘頭骨端炎
投球モーションの中で、上記部位に痛みを生じボールを投げることが困難となってしまいます。
肩関節の後方の硬さとは?
野球選手では、投球に伴う軟部組織性(生体内の臓器や骨組織以外の、筋肉・皮膚・脂肪・血管・神経などの組織を指します。つまり、骨や臓器以外の柔軟な組織全体を指します。)・骨性の適応により、肩関節の外旋可動域(外に捻る動き)が増加し内旋可動域(内に捻る動き)が減少することが報告されています。
(「少年野球選手の肩関節内旋可動域の減少」.2003;27:415-419 岩堀ら)
肩内旋可動域の減少は肩後方タイトネス(肩後方の硬さ、つまり可動域制限)を反映する指標として認識されています。
下の写真は左投げの選手です。
右腕に比べて左腕の方が内に捻る動きが悪くなっています。
*内旋可動域の制限が肩後方の硬さを反映している写真

肩関節の後方の硬さ=内旋可動域の減少と肘の痛みの関係は?
肩後方の硬さが投球動作に及ぼす影響として、肩関節内旋位での肩外転制限と代償性の肩甲帯挙上があります。
肩後方の硬さは、早期コッキング期の肩外転運動制限を引き起こします。
つまり、肩内旋位での肩外転が減少すること、すなわちコッキング期での肘下がりは、投球時の肘外反トルクを増大させてしまいます。
その結果、肘の内側の靱帯や筋肉に牽引ストレスがかかり内側型の野球肘を引き起こしてしまいます。
肘関節内側型の予防として行う日頃のセルフケアとしては、肩後方の硬さを改善させるストレッチを行いましょう!

ウォーミングアップやクーリングダウンも大切ですが、日頃からのセルフケアも予防のためには大切です。
毎日少しずつでも行って、ケガをせず野球を楽しみましょう!
セルフケアの方法や詳しいやり方を知りたい方は、ぜひ整体院oasisまでお問い合わせください!

高校卒業後に君津市にある千葉医療福祉専門学校へ入学し、国家資格である理学療法士の免許を取得。卒業後は、木更津市にある君津中央病院へ入職し、整形外科・脳外科・神経内科など様々な診療科目におけるリハビリテーションを学びながら2年間勤務。その後、富津市にある加藤大介クリニックに開業から約20年間勤務し約50000万人の方を施術し、それと同時にスポーツトレーナーとして高校野球部をサポート。昨年2024年4月に木更津市に整体oasisを開業。整体業のほかに地域のスポーツ団体にスポーツ障害の予防を指導し、地域で活動中。
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