アキレス腱障害についてスポーツトレーナーとしても活動している理学療法士が予防方法を解説【整体院oasis 木更津】

アキレス腱障害でお悩みの方へ

アキレス腱の痛み、つらいですよね。

ご自身の健康の為に、ランニングを趣味で行っている方。
また、レースなどに参加して目標タイムをクリアするため、本格的に取り組まれている方。
様々な理由で日頃からランニングを行っている方もいらっしゃるかた思います。

走っていると「足をついた時に痛!」「蹴った時に違和感?』

その方々の中で、アキレス腱に違和感や痛みを感じる方はいらっしゃいますか?

アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉と踵の骨をつなぐ、非常に重要な腱です。この腱に炎症や小さな断裂、変性などが起こると、様々な症状が現れます。原因も、使いすぎ、急な運動、合わない靴、柔軟性の不足など多岐にわたります。

しかし、決して諦めないでください。適切なケア行うことで、多くの方が痛みのない生活を取り戻しています。まずは、ご自身の状態を把握していきましょう。

この先では、アキレス腱障害についてと具体的な対処法について、さらに詳しくご説明していきます。

あなたの悩みが少しでも軽くなり、再び快適な生活を送れるようになることを心から願っています。

『アキレス腱障害』とは?

アキレス腱障害とは、ふくらはぎの筋肉と踵の骨をつなぐ腱であるアキレス腱に生じる様々な痛みを伴う疾患の総称です。

腱付着部の変性や外傷性変化によるものが多いことから、近年では炎症性変化による付着部炎とは区別され「アキレス腱障害」と言われています。

スポーツ現場においてはランニングをはじめとして、バスケットボール、バレーボールなどのジャンプ系競技、剣道、テニスなどでの発症が知られています。

アキレス腱障害の受傷者全体のうち、約半数がランナーであるとの報告や、ランナー全障害の中で7〜9%と約1割程度を占めるという報告など、他の競技に比べてもランニングによる発症率が比較的高いことが知られています。

また、潜在的な発症リスクを有するランナーは全体の約半数と推察される報告もあります。

それだけ、ランナーにとっては起こりやすい障害といえます。

『アキレス腱』とは?

アキレス腱は、人体の中でも最も大きく、最も強力な腱の一つです。主に下腿(かたい)の後ろ側にある腓腹筋(ひふくきん)とヒラメ筋という二つの筋肉が合わさって形成されています。

これらの筋肉の収縮力は、最終的にアキレス腱を介して踵の骨(踵骨:しょうこつ)に伝わり、足首を底屈(つま先を下げる動き)させる力となります。

具体的には、以下のようになっています。

  • 起始:
    • 腓腹筋: 大腿骨の内側上顆と外側上顆という膝関節のすぐ上の部分から始まります。
    • ヒラメ筋: 脛骨(けいこつ)と腓骨(ひこつ)という下腿の骨の後ろ側の広い範囲から始まります。
  • 走行: 下腿の後ろ側を下に向かって走行し、徐々に一つにまとまります。
  • 停止: 踵骨隆起(しょうこつりゅうき)と呼ばれる踵の骨の後ろ側の部分に付着します。

アキレス腱の周囲には、腱の滑りを良くするための腱鞘(けんしょう)や、血管や神経が通る組織(パラテノン)が存在します。これらの組織もアキレス腱障害に関与することがあります。

このように、アキレス腱は、歩行、走行、ジャンプなど、日常生活やスポーツにおける様々な動作において非常に重要な役割を果たしています。

『アキレス腱障害』はどうして発症する?

アキレス腱障害の発症メカニズムは、単一の原因によるものではなく、様々な要因が複雑に絡み合って起こります。主なメカニズムとしては、以下の点が挙げられます。

1. オーバーユース(使いすぎ):

  • 繰り返しの負荷:ランニングやジャンプなどの運動を過度に行うことで、アキレス腱に微細な損傷が蓄積します。
  • 不適切なトレーニング:急激な運動量の増加や、ウォーミングアップ不足、クールダウン不足なども、腱への負担を高めます。

2. バイオメカニクス(生体力学的な要因):

  • 足部の異常:扁平足や回内足(かかとが内側に倒れる)、ハイアーチなどは、歩行や走行時にアキレス腱に過度なストレスをかけることがあります。
  • 下肢のアライメント不良:膝や股関節の可動域制限や筋力不足も、アキレス腱への負担を増やす可能性があります。
  • 柔軟性の低下:ふくらはぎの筋肉やアキレス腱自体の柔軟性が不足していると、腱が伸びにくくなり、負荷がかかりやすくなります。

3. 組織の変性:

  • 加齢:腱の組織は加齢とともに柔軟性や修復能力が低下するため、小さな負荷でも損傷しやすくなります。
  • 腱の血流低下:アキレス腱は比較的血流が少ない部位であり、一度損傷すると治りにくい傾向があります。
  • コラーゲンの変化:腱の主成分であるコラーゲンの質や配列が変化することで、腱の強度や柔軟性が低下することがあります。

4. その他の要因:

  • 不適切な靴:クッション性やサポート性の低い靴を使用すると、足への衝撃が直接アキレス腱に伝わりやすくなります。

    *足底挿板(インソール)や靴について解説しています

    https://oasis-bodyslinkmind.com/blog/オリジナルインソール

  • 体重増加:過体重は、常にアキレス腱に大きな負担をかけます。

これらの要因が単独で、あるいは複合的に作用することで、アキレス腱に炎症(アキレス腱炎)や組織の変性(アキレス腱症)、付着部の炎症(アキレス腱付着部炎)などが引き起こされ、痛みや機能障害といったアキレス腱障害の症状が現れます。

『アキレス腱障害』のケアの方法は?

アキレス腱障害は改善するまでに、約3〜6ヶ月ほどの期間が必要と言われて、70〜80%が軽快すると言われています。

痛めた初期はアイシングなどRICE処置を行い、痛みが軽減してきたらストレッチや筋力トレーニングを開始するのが一般的な方法となります。

以下にまとめたものです。

【痛めた初期】

1:RICE処置:
初期の基本的なケアとなります。

・安静(Rest):

  • 痛む動作を避ける:運動はもちろん、日常生活での負担も可能な限り減らします。
  • 患部を休ませる:痛みを感じる場合は、無理せず安静にすることが回復の第一歩です。

・ 冷却(Ice):

  • 炎症を抑える:痛みや腫れがある場合は、患部をアイシングします。ビニール袋に氷と少量の水を入れ、タオルで包んで15〜20分程度冷やしましょう。これを1日に数回行います。

・ 圧迫(Compression):

  • 腫れを軽減する:腫れが強い場合は、伸縮性のある包帯などで患部を優しく圧迫します。ただし、締めすぎには注意が必要です。

・ 挙上(Elevation):

  • 腫れを引かせる:安静にする際は、患部を心臓より高い位置に保つようにします。クッションなどを利用すると良いでしょう。

 

【痛みが落ち着いてきてから】

2. ストレッチと柔軟性の改善:

  • ふくらはぎのストレッチ:壁に手をつき、痛む方の足を後ろに伸ばして、ふくらはぎをゆっくりと伸ばします。
  • アキレス腱のストレッチ:段差を利用して、かかとをゆっくりと下げてアキレス腱を伸ばします。
  • 足首のストレッチ:足首をゆっくりと回したり、上下に動かしたりして、柔軟性を高めます。

3. 筋力トレーニング:

  • ふくらはぎの筋力強化:カーフレイズ(つま先立ち)などの運動で、ふくらはぎの筋肉を鍛えます。
  • 足首周りの筋肉強化:タオルギャザーやチューブを使った運動などで、足首周りの細かい筋肉を鍛えます。

4. 装具療法:

  • インソール(足底挿板):足のアーチをサポートし、アキレス腱への負担を軽減する効果が期待できます。
  • サポーター:患部を保護し、安静を保つとともに、運動時のサポートにもなります。


5. 温熱療法:

  • 血行促進:慢性的な痛みやこわばりがある場合は、入浴や温湿布などで患部を温めることで、血行を促進し、筋肉や腱の柔軟性を高めます。ただし、急性期の炎症がある場合は避けるべきです。

重要な注意点:

  • 自己判断せずに専門家へ相談する: 痛みが続く場合や悪化する場合は、整形外科を受診し、適切な診断と治療を受けてください。
  • 無理のない範囲で行う: ストレッチやトレーニングは、痛みを感じない範囲でゆっくりと行いましょう。
  • 継続することが大切: 症状が改善しても、再発予防のためにケアを継続することが重要です。

これらのケア方法を参考に、ご自身の症状に合わせて適切に行うことで、アキレス腱障害の改善と再発予防に繋げることができます。

まずは、日頃からご自身でケアを行い予防することが大切です。

痛みのないランニングライフを楽しみましょう!!

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ABOUT US
金子 隆一
高校卒業後に君津市にある千葉医療福祉専門学校へ入学し、国家資格である理学療法士の免許を取得。卒業後は、木更津市にある君津中央病院へ入職し、整形外科・脳外科・神経内科など様々な診療科目におけるリハビリテーションを学びながら2年間勤務。その後、富津市にある加藤大介クリニックに開業から約20年間勤務し約50000万人の方を施術し、それと同時にスポーツトレーナーとして高校野球部をサポート。昨年2024年4月に木更津市に整体oasisを開業。整体業のほかに地域のスポーツ団体にスポーツ障害の予防を指導し、地域で活動中。